News | 2003年5月16日 11:45 AM 更新 |
NVIDIAは13日、日本においてGeForce FX5900を発表したが、米国でもElectronic Entertainment Expo(E3)開催中のロサンゼルスで14日、GeForce FX5900の発表会を行った。
といっても、ロサンゼルスのハリウッドにあるクラブで開催された発表会は、技術的内容や製品ラインアップを詳しく紹介するモノではなく、ひたすらにNV35ことGeForce FX5900の誕生を祝うイベントだった。
夜中までクラブで騒ぎながら、その最後に簡単な製品デモを行い、特に製品の内容には触れないイベントの手法のため、断片的なアップデートのみ。このレポートでは、製品の詳細ではなく、イベントの中身を中心に話を進めることにしたい。
まず最初に非常に良いニュースから。GeForce FX5800に搭載されたFX Flowと呼ばれる冷却システムが非常に大きな騒音を発するにも関わらず、その冷却性能面ばかりをアピールするため、てっきりNVIDIAは空冷ノイズに関して何ら気にしていないのでは? と思っていた。性能を向上させることのみに注力してきたNVIDIAだけに、騒音など性能アップの前では無意味と言いそうだったからだ。
しかし、実際にはNVIDIA自身、ユーザーからの声を受け、空冷ノイズを大きな問題として捉えていたようだ。GeForce FX5900の紹介前にビデオが流され、NVIDIA幹部が会議室に集まってGeForce FX5800の用途についてジョークビデオを流した。ビデオの中ではFX5800をドライヤー代わりに使う女性や、FX5800の熱を利用してコーヒーをいれたり、あるいはバーベキューを焼く、なんていうシーンも登場した。
NVIDIA自身が自虐的なビデオを作成し、笑いの種にしたのは、FX5900で騒音問題をある程度解決できたためだという。会場は常に音楽が大きな音で鳴り響いていたため、本当に静かになっているかどうかはわからない。しかし、ここまで大げさに自社の製品を笑いの種にしておいて、実はあまり静かじゃない、なんて恥ずかしい話もないハズ!?
さて発表会唯一の見せ場であるデモプログラムを使ったプレゼンテーションでは、3つの新しいデモが使われていた。ひとつはNVIDIA GeForce FXシリーズのイメージキャラDawnの妹(と会場ではアナウンスされていた)Duskが踊るデモ。彼女が着る革製のトップの質感、バンプマップによる凹凸に対応した微妙は影などが見所。「妹のDuskには陰がある」と微妙な言い回しで紹介。
NVIDIAのデモンストレーターイチ押しのデモは、ガソリンスタンドの風景を描くデモ。非常に地味なデモながら、柔らかな太陽の日差しと影の描写が素晴らしい。通常、点光源からの光だけで影を演算すると、影の縁になる部分がシャープになってしまう。しかし実際には、周りからの反射光があったり、光の回り込みなどがあって、ソフトにボケた影となる。
ガソリンスタンドのデモでは、周りからの反射を含む環境光などをリアルタイムに演算しているわけではない。しかし影のエッジ部のディテールをあらかじめオフラインで計算しておき、それを描画時に参照することでソフトな陰影を表現しているという。
背景の一部となっている各オブジェクトを移動させたり、あるいは部分的に壊れるといった処理を行うと、影を作るためのデータも計算し直し(もしくはデータの入れ替え)を行わなければならない。しかし背景に動きがないゲームであれば、十分に活用可能だろうとのことだった。
最後は炎のモンスター? Vulcanのデモ。Vulcanからは美しい炎が揺らめき上がり、煙が立ちこめる。赤熱する肌の描写も見事。炎や煙、赤熱する肌などは、すべてShaderプログラムで表現している。明日はGeForce FX5900の担当者などへのインタビューもある。日本での発表内容では、まだ謎の部分が多いGeForce FX5900だが、ハードウェアのより詳しい内容については、そこで明らかになる部分も多いだろう。
[本田雅一, ITmedia]
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